交通事故の慰謝料はどのように計算されているのか?

交通事故では被害者に対して慰謝料が支払われます。この慰謝料とは被害者の肉体的・精神的な苦痛を損失とみなし、お金に換算して支払われるものです。

交通事故の慰謝料は被害者・加害者側の事情を考慮して増額される

なおこの慰謝料が請求できるのは人身事故のケガで入通院した場合です。この慰謝料の計算は次に挙げるような、被害者や加害者の様々な状況や事情を考慮してなされます。

被害者側の事情として増額になるポイント

①ケガの部位や程度、治療に至る経過、入通院の期間などの事情
②被害者の年齢・性別・学歴・職業・既婚か未婚か、社会的地位など
③被害者の資産・収入生活態度など
④被害者の家庭内のおける立場・扶養の関係など

加害者の事情として増額になるポイント

①飲酒運転や無免許運転、著しい速度違反などの不正行為
②謝罪をしない、見舞いに来ないなど、示談交渉において誠意が見られない、というような加害者の不誠実な態度。
これらの事情や状況をよく考慮したうえで慰謝料の額が決まるのですが、加害者側も言い分を主張しますから、交渉が紛糾するのが常で簡単には決まることではありません。

慰謝料は日弁連の交通事故損害額算定基準を参考として決められる

交通事故の慰謝料は加害者、被害者がお互いの立場を主張しあうのが常であり、交渉がもつれることは決して珍しくはありません。でもそれでは慰謝料が決まりませんから、何らかの効果的な方法を講ずることが必要になります。そのために使われるのが日弁連による「交通事故損害額算定基準」なのです。この基準は慰謝料を決めるための格好の資料として、弁護士をはじめ各地の交通事故相談員などの慰謝料算定業務に非常に役立っているようです。

任意保険会社が出す慰謝料は交通事故損害額算定基準よりも低いので注意!

一般的に交通事故の被害者に対する慰謝料は日弁連基準で決めるのが妥当といわれています。では示談交渉で加害者側が呈示してくる慰謝料の金額はこの基準に沿っているのかといえば、残念ながらそうではありません。加害者側が示す慰謝料は自賠責保険や任意保険の傷害に対する基準で計算されたものなのです。したがって金額は日弁連基準のものを下回ります。では具体的にその金額を見てみましょう。

自賠責基準の慰謝料

1日4,200円。対象になる期間は、ケガの状態や治療に要した日数、その他の条件を考え合わせて上で決められる。

任意保険基準の慰謝料

以前は保険会社間で統一した基準がありましたが保険自由化で「自動車対人賠償保険支払基準」が廃止されたこともあって、現在では統一基準はなく、各社独自の基準で慰謝料を決めています。とは言え、会社によって差があるかといえばそうでもなく、その額についてはほとんど差がないようです。

任意保険会社は今も自動車対人賠償保険支払基準を使っている

任意保険による慰謝料が保険会社によって差がないのは、保険自由化によって「自動車対人賠償保険支払基準」が廃止された後も、いまだにその基準に沿って慰謝料の額が決められているからです。いまだに利用されているのは1997年に廃止された「任意保険の傷害による慰謝料表」というものです。この表によれば、交通事故でのケガは軽傷(打撲、挫傷、擦過傷、捻挫など)の場合がベースになっており、通常のケガ(前腕骨折、膝関節脱臼など)の場合は10%増、重症(頭蓋骨複雑骨折、脳挫傷、腹部損傷破裂など)の場合は25%増になっています。ただし、被害者の年齢、性別、職業、地域差などを考慮して基準を超える金額の支払が妥当と認められれば、その金額が支払われます。でも仮にそうであっても、なおかつ日弁連基準による金額を大きく下回っているのが実情です。